私の歌を長年支えてくださっていた、ギタリストの前原孝紀さんが亡くなりました。
私にとっても突然のことだったため、茫然としてしまい、お知らせが遅くなってしましました。
・演奏中は名前を言わない(注目されるのが嫌だから)
・電車に乗るときは同じ車両に乗らない(無理にしゃべるのが嫌だから)
・写真を撮るときは笑わない(他の共演者にも笑って撮ってと言われるのが嫌だから)
・午前中からのリハやライブは入れない(朝まで飲んで昼まで寝てるから)
・トイレは30分以上かかる
などなど、恐ろしいほど面白い決めごとがたくさんある方でした。
何度も共演した帰り道、すっと電車の隣の席に座って話をしてくれた時は、心の中でガッツポーズしたし、
レコーディングの相談をしたときに、「”月”は絶対やらせてもらいたいなぁ」と私のオリジナル曲を
一番に出してくれて、嬉し泣きしながら帰ったこともありました。
とっつきにくいように見えて、とても優しく、とても繊細で、ものすごくシャイな人。
シラフではいつも真顔なのに、なぜかみんなに愛されてる不思議。
そして、絶対に誰にも真似できないギター。
誰よりも美しい音を追及していたし、かと思えば、内臓飛び出るようなソロが隣から聞こえてきて、
目玉むいたこともしばしばでした。
あぁ、変態ギタリスト、前原孝紀。
いい曲だよと推してくれた「月」も
二人でアレンジしたスリル満点の「o ronco da cuica」も
褒めてくれた「ひとつだけ」も
あの曲もこの曲も、思い出がありすぎる。
前原さんが病気になったら、子どもと一緒にお見舞いに行くつもりだったのに
お見舞いに行く隙ももらえなかったな。
そちらの世界にも、ギターとお酒とタバコはあるのかしら。
きっと病気なんてないでしょうから、引き続き思う存分、酔っぱらってタバコ吸って、
でもやっぱり、変態ギタリストでいてください。
心から、心から、ありがとうございました。



実はとっても子ども好きの前原さん。娘と。